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ブラジル日報の9月5日の紙面で紹介されました。
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 楽書倶楽部第五回親睦会が8月27日午前9時、聖市の山形県人会会館で開催され、約50人が集まった。日毎叢書企画出版(主催=前園博子さん)が出す同小冊子は13年前に創刊され、すでに69号まで刊行された。日本語媒体がどんどん廃刊していく時流に逆らって、むしろ寄稿者を増やしている。

 鈴木さとしさんが司会を務め、最初の追悼の時間には「千の風になって」が流される中、同出版創業者の野口浩さんを始め、今までに刊行に関わった数々の協力者の顔写真が次々にスライドで写しだされた。それに見入っていた前園さんは、目を潤ませたままマイクを握って挨拶をしようとしたが、「一人一人の思い出が蘇ってきて、いま胸が一杯で言葉が出ません。ちょっとお待ちを…」と手で制した。
 少し間をおいて「初めての方、6年ぶりの方、いろいろいると思います。創刊したころは69号まで続くとは想像もできませんでした。これも寄稿してくれる皆さんと協力者のおかげ。次は70号。私も10月で85歳です。いつまで続けられるか分かりませんが、できる限りがんばります」との決意を語った。
 最長老の梅崎嘉明さん(100歳、奈良県出身)は「この冊子が創刊されたのは2010年で、その頃は10名内外の投稿者で20頁そこそこだったが、今では投稿者40数名、150頁の日系コロニアで知られる同人誌となりました。昨今は移民一世の老齢化で多くの日本語書物、団体の減少が続いている中、楽書倶楽部の投稿者が増え続けているのは奇跡に近い現象で喜ばしい」と述べた。その理由として「編集者の人をそらさない寛容さ、親子兄妹のような親密さをもって投稿者に節しておられる前園様の真摯な態度、これは持って生まれた先天的なものでしょうか」と感心した様子で語った。
 主宰の息子である前園マルセリーノさんが挨拶した後、本紙の深沢正雪編集長も「日本語新聞が次々に潰れてい行く中、むしろ寄稿者を増やしている楽書倶楽部は本当に奇跡的存在。ぜひ100号迄続けて」とエール。
​ 続いて参加者の自己紹介となり、松村滋樹さんは「楽書倶楽部にいろいろな人生経験が書かれているのを読んで、自分も書こうという気になった。細く長い泥んこ道にはまりながら歩いてきた。そんな自分史を今書いている」と心中を吐露し、小林音吉さんも「私は東京都葛飾区柴又の出身。寅さんのような柴又弁をしやべる人はいません。私のはもっとキレイです」などと会場を笑わせていた。
 毛利律子さんの講演となり。現代日本では高齢者受け入れ施設を縮小させる傾向があり、自宅で自助努力せざるを得なくなってきている現実や、長大で難解なことで知られるヘンリー・ソローの著書を分かりやすく解説した『ソロー流究極のシンプルライフ』(毛利著、Kindie版も)の内容などを抜粋して語った。最後に「梅崎さんのように健康に長生きされた方から1世紀分の経験と秘訣を語ってもらう機会を」と呼びかけて締めくくった。
 参加者の松本正雄さんに感想を聞くと、「冊子を通して名前だけ知っていた人が多い。やっと名前と顔が一致した。文章を書いて頭を使っているせいか皆さん若々しい。いつまでも刊行を続けてほしい」と述べた。
 食事の後は記念撮影、プレゼント交換、合唱となり石田勉さんの閉会の辞で閉幕した。
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