
我が思い出の歌
伊藤 喜代子
まだ、ガルボン・ブエノにシネ・二テロイがあった頃、ルア、サン・ジョアキンには、シネ・東京があった。その頃、丸山楽団の演奏で、映画の合間に歌のショウをやったことがある。その時、私は西田佐知子の「アカシヤの雨がやむ時」を歌った。
一日三回のショウを七日間。私は仕事をしてなかったが、楽団十人くらいの男性たちは、よくも、まぁ、プロでもないのに仕事を休んでやって居たのか !と、今、思う。歌手は私とあと二人の三人だったと思う。「アカシヤの雨がやむ時」は、なつかしい。
アカシヤの雨がやむ時
「江差恋しや」 三橋美智也
この歌は、全国のど自慢大会でパラナから来た藤川さんと言う人が歌って優勝した歌だ。私は、その年、サンパウロ代表で、いわば競争相手だったのだけれど、彼の歌のうまいのにはひれ伏した。 負けて当然と惜しみない拍手を送ったし、その上、彼は若衆タイプ。カッコよかった! 六十年前。
江差恋しや
秋田船方節。(小野花子)
秋田は民謡の宝庫と言われ、数々の味のある民謡がある。民謡はその昔、仕事をしながら唄われた唄で、だいたいの節はあるけれど、唄われてゆくうちに勝手に新しく節をつけたりされて変化していった。クラシック音楽のように楽譜どうりにきちっとは唄われない。どちらかと言えばジャズのように、演奏家がその時の気分で自分流を作るのではないかと、私は思っている。この「秋田船方節」は民謡大会で優勝した唄。日本から審査に来た佐々木基晴先生に褒めてもらった唄。
秋田船方節
昴(すばる)谷村新司
大会などで歌おうと思う歌と、聞いて楽しむ歌は違う。大会などで挑戦するのは、自分の持ち味を最大限に生かせて、しかも歌詞も好き、メロディも好きと思えないと身がはいらない。 プロの歌手はその点、かわいそうだなぁーと思う。自分に合わないし、キライだと思う歌も歌わなくてはならない。ひばりほどにもなれば別だろうけど。
私はこの「昴」(すばる)の歌詞がだいすきでよく口ずさむ。
昴(すばる)
別れても好きな人。(ロス・インディオス)
最近、私はこの歌に救われた。この歌と言うより、彼らのあるひとつのビデオだ。そのビデオとは、赤いスカートのシルビアと黒いスーツを着た男性メンバーが歌う「別れても好きな人」だ。不思議な事に、同じ「別れても好きな人」でもほかのビデオはそんなにいいとは思わない。何だろう ? 彼女の表情と、男性歌手(名前は知らない) の魅力に囚われた。
救われたというのは、ちょうどコロナ真っ最中に亡くなった姉を日本に尋ねる事ができなくて、私は心が納められないまま鬱に陥る寸前だった。この二人の歌手は私を明るい青春の日々に連れ戻してくれた。
別れても好きな人
旅愁。
この歌は、私が十三歳の頃、日本から来た新移民の青年が歌って教えてくれました。更けゆく秋の夜、 旅の空の、侘しき想いに一人悩む、恋しやふるさと懐かし父母、夢路にたどるは里の家路、 彼はきっと、日本が恋しかったのだろうと、今は解ります。 自分の国を出て他国で暮らす者の心情は皆同じですね。どんな国だろうと、ふる里が一番いいのですね。
旅愁
達者でナ。(三橋美智也)
育てた馬を売りに行く寂しさを歌った歌ですが、辛いですね。 私もやっと可愛くなってきた仔犬を人にやらねばならなくて何度泣いた事か…
達者でナ
What Wandful Word. (Louis Armstrong)
昔は個性的な歌手がいましたね。日本で言う、イケメンや、可愛コちゃんでは歌手になれなかった。
この、黒人歌手のなんと素晴らしい事か!!
What Wandful Word.
テネシーワルツ。 美空ひばり
テネシーワルツ
銀座の蝶 (昭和33年)大津美子。
私が旧姓、大塚喜代子の時にのど自慢大会でよく歌った曲です
銀座の蝶
王将。 村田英夫。
父がこの歌手を大好きでした。私は、将棋のショの字も知らないのに、藤井聡太の勝ち負けを常に注目しています。
王将
紅い花。 ちあきなおみ。
彼女はすごく歌がうまい。 もっと、ずっと歌って欲しかった。歌詞も素晴らしい。
紅い花
木曾の恋歌。 藤あや子。
名古屋から汽車に乗り長野に行った時、だんだんと景色は山の中になリ、ある小さな駅に着いた時、木曽路ヘようこそという垂れ幕がその駅の前にしてあった。木曽路って、いい響きがありますね。私は長野が大好きになりました。
木曾の恋歌
落ち葉しぐれ。 三浦洸一。
三浦洸一っていい声ねえ、コロニアで爆発的に流行った歌。私は子供だった。
落ち葉しぐれ
Sambô-Você Abusou。
このサンバは、50年近く前にAv.Angelicaに持っていたサロンのラジオからいつも流れていた大ヒット曲です。でも、あの頃の歌手はいなくなり、新しいメンバーに歌い継がれていました。ちょっとメロディが騒がしくなりましたが、息のながいヒット曲です。
Sambô-Você Abusou
旅姿三人男。
東海道五十三次、今では、ボルトガル語が飛び交い、次郎長親分も森の石松も当惑している事でしょう。
坂東妻三郎、市川右太衛門、片岡千恵蔵、花柳小菊、懐かしいなあ!!
旅姿三人男
阪神電車に乗り、ブラジル日系人のアパートに、眉アートの仕事をしに行った事がある。あそこは阪神電車事故で、100人以上が死んだし、阪神淡路大震災もあった所。日系人に、このビル新しいね。と、言うと、この辺、皆んなぺちゃんこになった所。それじゃ、この辺り、大勢が死んだのね。と、言うと、ある日、残業から帰ると、知らないバーちゃんがそこに座っていた。エッ! 何処に? そこ! 貴方が座っているところ。 出稼ぎで来ているブラジル人たちは、何があっても、我慢しなくてはならない。彼女は私の驚きに微塵も動じなかった。怖くないと言った。人間、度胸が座れば、大したものだと思った。
そして、神戸…
安倍さんを惜しむ歌です。
