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石井 かず枝
「荒城(こうじょう)の月」は、私が子供の頃、母(清江)から覚えた歌で、演芸会で初めて踊った曲なので忘れられない私が好きな曲の一つです。
 母がまだ十代の頃、家族でブラジルへ移民して来て、一家の家長であるお父さんが「三年経ったら
日本へ帰る」と言う希望を持って来たが、その夢も果たすことなく病床についてしまい、娘(清江)に、「荒城(こうじょう)の 月を歌ってくれ」と言われ、毎晩歌ったという昔話を母はよく語ってくれた事を懐かしく思う。
 私の祖父の心の中は、当時何も無かったブラジルへ、幼い子供達を連れて来て苦労をさせることの
やるせない気持ちと、切ない郷愁を[荒城(こうじょう)の月」歌が慰めの一つであったのだろうと思う。
 滝廉太郎が荒れ果てた城跡の前に腰を下ろして、月を眺めながら尺八を吹いている姿とあの美しい
音色が聞こえてくるような、、、、、、。
荒城の月
石井かず枝-1.jpg
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