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   我が思い出の歌   前園博子
 

  戦後(せんご)の貧しい時代に、小、中学時代を送ったので歌にはとんと縁のない生活でした。しかし小学六年生の時に鹿児島南日本放送局で我が校がコーラスを披露するということで、どういうわけか私も選ばれ、その晴れ舞台(?)に、どきどきしながら歌ったことをよく覚えています。曲名は「花、里の秋、灯台守」でした。「灯台守」は父の戦死の報を受けた後でしたので、戦死したソロモン群島の周囲の海をなぜか想像しながら歌ったのでとても印象深く記憶にあります。

里の秋
灯台守
 高校時代になると洋画にはまり、試験が終わると友人と二本立ての安い洋画館に一直線でした。鑑賞禁止に背く洋画を見ていたら生徒指導の先生につかまり生徒手帳を没収され、翌日担任の先生に皆の前で二人してこっぴどく怒られた思い出もあります。それでもなけなしのお小遣いを必死にため勉強よりも洋画、OK牧場の決斗シエーングレンミラー物語ローマの休日鉄道員など、暗くなった劇場の椅子に友人と深く身をうずめて、銀幕に映し出される夢の世界に入り込み、あの頃の唯一の娯楽の世界に没入したものです。卒業後も暇を見ては二人で映画館通いでした。初めて帰国した時にはその友人は早死にしていて思い出を語らうことはできませんでした。よき友がいたから映画館通いが出来たのです。そして昔の洋画には必ず素敵なテーマソングが流れていました。テーマソングが良かったから映画もヒットしたのではないかと思うほどの名曲でした。今でもその時のテーマソングが流れてくると、遠い昔が偲ばれ若返る思いがします。
OK牧場の決闘
グレンミラー物語
シェーン
ローマの休日
鉄道員
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